たまのおいとま

めぐりあわせのおかげで海外でしばしおいとまいただくことになった会社員の冒険と発見と悟り

質問のススメ <後編>

いざ質問しようと思っても、実際には結構難しいと思います。

質問するたった数分の間、その場の全員の注目がぐっと集まるような感じがして、それなりに回数を重ねた今でも私はその瞬間が苦手です。

 

実際、講師や先生が話している間よりも、多くの人が集中して聞いているような気がします。

 

講義や研修の発表中よく寝てしまう私の実体験から言うと(汗)

最後の質問の時間が始まる前には、だいたい拍手などで一度話が途切れます。

発表の最中はうつらうつらしている人も、その瞬間の場の空気の変化を感じてそのタイミングで目を覚ますのです。

 

質問する言葉はそう長くはないし、それを聞き漏らすと、後の講師の答えも何の話なのかよく分からなかったりします。

寝てしまって発表を聞き損ねた罪悪感がある身としては(笑)

もう何としてでも聞き漏らすまいと集中します。

 

そんな不届き者は私だけかもしれませんが、質問する時に感じる周りの視線は、実際聞いている人の人数が増えているのではないかと思うほど強いです。

とにかく、質問する瞬間の緊張感は半端ないです。

 

でも、この緊張感があるからこそ、質問すべきとも言えると思っています。

発表者よりも緊張する場面で、一言二言話すこと、これ以上に人前で話す良い練習はないと思います。

この緊張に耐えられたら、プレゼンも、少なくとも話し出す前の緊張はクリアできるでしょう。

 

また、前回も少し書いた通り、質問する力を鍛えておくと、人との会話、コミュニケーションの場でも、良い変化をもたらすと思います。

カバン持ちで自分とは全然!もう人間の格が違うんじゃないか、と思うような目上の方と食事する機会、案外ありませんか。

 

逆に新入社員くらいの頃の方がそういう機会が多いかもしれませんが、出張先での会食とか、社会人歴が長くなるにつれてまた増えてくる気がします。

 

立場も、所属も、業種も、人生経験も、性別も、年齢も、国籍も、何もかも違うような人と会話したいと思った時に必要になるのも、やっぱり質問する力なのだと思うのです。

 

今日は質問できるようになるための方法を書くと言ったのに、また質問の意義ばかり書いているじゃないかと思ったそこのあなた!(!?)

 

残念ながら、一朝一夕で上手に質問できるようになる魔法の方法はありません。

でも、だからこそ、どれだけ質問することが大事か、ということを認識して、自分を鼓舞して、たくさん失敗する必要があると思うのです。

 

質問の恥はかき捨て、

知らない人がいっぱいの場所で名もなき人が変な質問してるくらいの方が、

自分の名前を冠した大事なプレゼンがぐだぐだになったり、貴重な会食の機会でお偉方相手にへまをしたりするよりよっぽど良いと思いませんか。

 

今日こそは質問しようという気持ちが揺らぎそうになったとき、それを思い出すのが一番有効なのです。

私はいつもそうしています。

 

では、質問すると心に決めて、実際質問することも思いついた後、

どうやって最初の、質問時の極度の緊張を乗り越えるかです。

 

緊張するということは、質問すること自体から気持ちが離れて、他人に良く思われたい、という気持ちに気が行ってしまっているということなのだと思います。

 

そう思うと、まずは、自分がする質問の内容に集中すること、それをいかに分かりやすく伝えるかを考えることが大事ではないかと思います。

 

質問しようと思うと、他の人の質問も注意して聞くようになります。

そうすると、案外、この基本的なことができていない質問が多いことに気づくと思います。

 

大きな会場で一般公開されているような発表の場に行くと、年配の方がかなり語る(!?)質問に出会うことがよくあります。

 

もちろん、中には示唆に富んだ素晴らしい質問もあるのですが、結局何が聞きたいのか分からないことも多いです。

そして、たいてい、そういう質問に対する講師の答えは曖昧だったり、聞かれた内容とズレていたりということが、よくあります。

 

私はどうしても、そういう質問をあまり良い質問だとは思えません。

 

私は次の2つの条件を満たした質問を良い質問だと思っています。

1つは、端的で、何を聞きたいのか誰が聞いても分かりやすいこと、

もう1つは、その場にいる人たちにとって、手土産になる話を引き出せる質問であること、です。

 

手土産になる話、というのは、聞いたことを帰って人に話したいと思うくらい、多くの人にとって聞いた意義がある話ということです。

 

1つ目は比較的慣れてくればすぐクリアできますが、2つ目はなかなか難しいです。

いくつか質問を思いついた上で、その中から吟味することが必要になると思います。

 

まずは1つ目を意識して、それに慣れてきたら2つ目をクリアすべく頑張ると、自分の目から見ても自分の質問のレベルが分かる感じがしてきます。

そして自分の成長が分かれば、だんだん質問することが楽しくなってきます。

 

そうやって、自分自身の質問レベルが高くなると、周りのレベルも見えてきます。

良い質問ができる人は、なぜかそれだけでかっこよく見えてきたりします。

そんな人を見つけたら、終わった後に話しかけてみても良いかもしれません。

 

たぶん、その人は会話も上手なので、盛り上がると思いますよ、やったことないですが(ないんかい)

 

前回書いた通り、質問することを意識すれば、講義や研修の内容を無駄なく頭に入れながら聞けます。

ちょっとの心がけ次第で、つまらないと思っているものがキラキラしてくる楽しさを、一人でも多くの人と共有できますように!