本の話3「「読まなくてもいい本」の読書案内」<後編>
さあついに!
今日こそは橘玲さんの「「読まなくてもいい本」の読書案内―知の最前線を5日間で探検する」を紹介します。
橘玲さんの本は「言ってはいけない―残酷すぎる真実」が有名らしい(まだ読んでいない)のですが、そのもとになった本です。
同じく橘さんの本、「バカが多いのには理由がある」を職場の方からいただいて、論旨の明解さと鋭い分析に開眼してから、私は著者で本を買うということを覚えました。
いつも橘さんの本を読むと、自分がどれだけ世の中のことを知らないかを痛感させられるのですが、今回の本は、それと同時に若い世代への期待と愛情を感じる本です。
自分の読んだ本や読みたい本を登録するアプリを使っていると、いかに世の中に本が多いかということを痛感します。
読みたいと登録した本は、そのほぼ全てが誰かの紹介で登録した本のはずなのに、それだけで現時点で・・・・・・はあ・・・はあ、667冊ありました(数えてきた)
今登録していない本にも、読みたい本がどれだけあるのか、そしてそれをどうやって見分けたらいいのか、もしかして全部読むのか!?無理!
そんなことを考えながら本屋を歩いていたら見つけたのが、この本です。
そうそう、そういう本が欲しかった。
君はわが読みたい本リストの第668冊目だが、仕方ない←
しかし、その選択は正しくも間違っていた!
なぜならその結果、92冊読みたい本が増えてしまったから笑
橘さんもそれは自覚しているらしい、各章の最後にブックガイド載せてるんだもの。
あなた確信犯でしょ!
・・・はい、そこに載っている全てを選ばず登録した、欲張りな私が悪いです・・・。
5日間で旅する、とある通り、複雑系、進化論、ゲーム理論、脳科学、功利主義の5つのテーマで話は進みます。
この順序も、今思うと秀逸です。そして、5日かかるというのも、その通りです。
橘さんの洗練されきった思考に凡人がついていくにはそれくらいかかります。
さっき出た5つのテーマを読んで、言葉の意味が全く分からなかった人でも、読めば意味が分かるくらい、分かりやすく書いてあります。
でも、何しろ知の最前線ですから、各分野の世界中の学者のトップたちが考えてはじき出した結果をひょいひょいと飛び歩くわけで、
頭が分かっても心は追い付かず、もやっとすることも多々あり、
その結果、もっと知りたいと、気づけばブックガイドにある本をすっかりショートした頭で片っ端から登録することになるわけです。
教科書に載らない歴史ってありますよね。
直近10~20年くらい(体感)分の社会の変化です。それが、この本に書いてあると私は思いました。
自分でやろうとしたら、何百何千の英語の論文や数々の文献を読み込まないとたどり着けない情報が凝縮されていて、これが780円(税別)で日本語で読めるのは、本当に恵まれていて、今すぐ読みたい本リストのトップに置いて読む以外の選択肢がないと私は思います。
著者がこの本を書いたのは、教科書に載るまで待っていてほしくないから。
今この瞬間にも歴史は作られていて、新たな歴史を作り出す人になってほしいから。
「人類が今日まで進歩して来て、まだ解くことが出来ないでいる問題」のために、骨を折ってほしいから。
若いきみたちなら、・・・“知のパラダイム転換”を軽々と受け入れて、効率的で衡平で合理的な「よりよい世界(ベターワールド)をつくっていくことができるはずだ―と思ったからこそ、この本を書いたんだけど
(p375 あとがき)
この挑発の言葉が悔しくて仕方ないけど、私にできることは何一つ思いつかない――今は。
見てろよ、いつか絶対見つけ出して実現してみせる、そう心から思ったのでした。