たまのおいとま

めぐりあわせのおかげで海外でしばしおいとまいただくことになった会社員の冒険と発見と悟り

本の話「噛みあわない会話と、ある過去について」④

そのとき、できる限り感情的にならないで相手の言葉に耳を傾けることがすごくすごく、難しいので、時間を置いたり、伝える方法を工夫したりすることがとても大事になります。

 

でも、何度かそれをするうちに、慣れてくるものでもあると思います。

大事なことは、相手を自分の世界にからめとることではなくて、相手の世界と自分の世界を可視化して、その違いを理解し、それぞれがそれぞれの世界を持ったまま、共存し、あわよくば一緒に発展することを目指す気持ちだと思います。

 

そうした先に、本当の意味での仲間や味方を得る未来が待っているのだと思います。

 

香港でのその一件は、結局お互い自分の世界から見えていたことを全て伝えあった後、絶交だと言っていたその相手は、時間を置いて自分が感情的になっていたことに気づいて謝罪してくれ、私もそれを受け入れることにしました。

 

正直、本当にお互いを認め合えたのか、と考えると、まだまだ先は長い気もします。

私自身も今回の一件を通して、その人が本当に私にとって大切なのか、と考えてみて、結果、まだまだそうでもない、と思ったというのが素直な感想です。

だから、全てを伝えた後、その友達と喧嘩別れしても、仲直りしても、正直どうでもよかったという思いもあります。

 

でも、私はまだまだ相手のことを知らないし、それでも一緒にいて楽しいと思うこともたくさんあって、私もいろいろなことを反省して変わっていくし、相手もたぶん、少しずつ変わっていくのだとしたら、その先の未来を今から決めつける必要はないと思いました。

 

お互い変わっていった先に、心からお互い信頼しあえる、幸せな時が来るなら、それまで気長に、適度な距離でつながっているくらい、悪くはないのではないかと、そんな気持ちで今も、連絡を取り合っています。

                                 完