イーストも、死す
さて、凪のお暇の真似その2、もちろん作りましたよ、あのパンを。
凪がゴンさんを例えた、ちぎりパン!!
だがしかし、私のこね具合が足りないのか、これで成功しましたよ~!と写真付きで書いてあるレシピを見て作っているにも関わらず、一向に膨らまず・・・
一次発酵では何となく膨らむのですが、二次発酵で待てど暮らせど膨らまない!!
そうして出来上がったのは、ポンデケージョもどき、別名:氷室饅頭もどき(なんとなくお酒っぽい味がするのだ、アルコールが残っているということ?)
しかし、こんなことであきらめる私ではない―
パンチャレンジ第2回の時、なかなか膨らまないなあと思っていたら、超弱火にすべきところ、なんと、超強火にしていた!
なぜこんなことになったかというと、こちらの新居のコンロは前後の配置なのに、ボタンが左右についていて、時々どっちがどっちか分からなくなるのです。
お湯を沸かすために超強火にしていた方が、パンの方でした・・・泣
こうして死んでしまわれた(と思われる)イーストは、その後、同じ手順で温めてみてももう元には戻らず・・・この子はポンデケージョにもなれなかった・・・
私(と巻き込まれた夫)による1時間のこねこねの苦闘が無駄になってしまった・・・と思うと心の弱い私は、すっかりふてくされていました。
こうなるともう、漫画で凪たちが「かんたん!!安い!!たのしい!!」とか「ふわふわもっちり~~~」と幸せそうにしているのすら恨めしい(ただの八つ当たり)
(夫は切り替えが早いので、ちゃんともう別のことをしている)
どうしてもあきらめきれない私は、ちぎりパン(になるはずだったもの)をかじりつつ考えていて、突如ひらめいたのです。
牧場物語で失敗作が他の料理の材料になるように、この失敗パンも、何かの材料になるのでは・・・(マニアックな例えすぎて伝わらない)
調べると、いましたよ、失敗パンを材料に新たな料理を考案している人たちがたくさん!
みんな、あきらめきれなかったんだなあと思いつつ、なんだかそれに励まされながらレシピを漁り、適当につぶして丸くした上に、切ったプチトマト乗せてフライパンで豪快に焼いてみると・・・なんと失敗パンはピザに進化した!
「お、これ、この前の氷室饅頭もどきよりは美味しいよ」
と夫から評価を勝ち取ることができたのでした!
「よりも」ではなく、「よりは」なのが多少気になるが、実際カリふわで美味しい。
ここで最近本に出てきた「サンクコストバイアス」とつながってしまいまして・・・
(以下ちょっと面倒くさいので適当に読み飛ばしてください笑)
サンクコストバイアスとは、「すでに支払ってしまい、もう戻ってこない費用や労力、時間にこだわって、合理的・論理的な判断を下せない状態に陥る」ことを言います。(DaiGo「後悔しない超選択術」p177)
映画館に行って、最初の数分で、「あ、これつまらない・・」と確信した後、いやでもお金払っちゃったし、あと2時間あるけど見るか・・となる気持ちです。
1時間こねたのに失敗したパンを即座に捨てることがサンクコストバイアスから解き放たれた、合理的な人間のすることです。
でも、バイアスのかかった不合理な人(私)が、失敗パンをあきらめきれずに試行錯誤したから、最後は美味しいカリふわピザができました。
なんだ、バイアスなんて気にせず引っかかった方が得じゃん!
そこで私は、サンクコストバイアスには実は前提があることに気づきました。
それは、そもそも今の状態が無駄である、というのが正しい判断であることです。
つまり、最初の数分で映画を見ても意味がない、ということが正しい判断で、最後まで見ても本当に面白くなかった場合に、バイアスにかかることが間違いだったと言えます。
反対に、その映画が、見ないと人生の半分損してると後に自分が思うような映画だったら、いっそバイアスにかかった方が良い結果を得られるのです。
自分が正しいと思える判断をしたいなら、サンクコストバイアスは邪魔です。
でも、結果的に豊かな人生を送りたいなら、そして、現状の判断に自信がないなら、思い切ってサンクコストバイアスに引っかかって、不合理なことをしてみるのも良いということですな。(もちろん裏目に出ることもあるので注意)
ちなみに、DaiGoさんは後悔しない判断をするためにこの本を書いていますので、こんなことは書いていません。
私はこの本を読んで、バイアスはどんな時でも避けるべき!と危うく飲まれそうになっていたところを、こうして失敗パンに救出されました。
重要なのは、バイアスの存在を知って、それにどう対処するか(避けるのか、避けないのか)、自分の頭で考えられることなのである!
え、失敗したパンを懲りずに温めてたときに、そんなこと考えてたのかって?
なわけないでしょ!笑