たまのおいとま

めぐりあわせのおかげで海外でしばしおいとまいただくことになった会社員の冒険と発見と悟り

本の話「貧困からの自由―世界最大のNGO・BRACとアベッド総裁の軌跡」⑥

これであれば、測るための特別な器具もいらないし、何か特別なものを買わなくても済みました。

でもこの方法の肝要な部分は、正しい知識を持っている人をどれだけ増やせるかというところでした。

BRACはここでも工夫します。

 

村の子どもがいる女性で、関心のある人に声をかけ、実際に作り方や使い方を教えます。

しっかり研修をした上で、そうして作った溶液が医療効果のある配合になっているかを確かめ、さらにその人たちからそれを普及する役割を持って、BRACの一員として働く人を募ります。

 

その人たちが各村を回って教えていくだけでなく、教えられた側がきちんとそれを理解し、実践できているかも確認します。

教えられた母親たちの何%かを抽出し、この療法のいくつかのポイントを整理して、それぞれがその点をどれだけ守れていたかで評価が細かく決まります。

 

さらには、その人たちに誰が教えたのか、ということをチェックし、きちんと教えられていた人の報酬を上げる仕組みにし、教える側のインセンティブを作って、意欲の向上や伝達方法の工夫や改善を促します。

 

今書いたのはほんの一例で、他のことについてももっと細かく一つ一つ試行錯誤のプロセスがありますがBRACがしていたのは例えばこういうことでした。

 

また、最初は小規模に、少ない村ではじめ、結果を検証し、その結果を生かしてまた次の試みをして、規模を拡大して、ということを繰り返していきました。

常に実施と結果検証が一つになって、素直にフィードバックを改善につなげていくことができていました。

                            つづく