本の話「貧困からの自由―世界最大のNGO・BRACとアベッド総裁の軌跡」 ①
ちょっと前に仕事でバングラデシュについて調べる機会があって、「バングラデシュを知るための66章」を読みました。
読んでみて驚いたのは、バングラデシュがソーシャル・ビジネス先進国であることです。
それまでもユヌス銀行のマイクロクレジットのことは聞き知っていましたが、それ以上に、とてつもなく魅力的なNGOがあるのです!
日本での知名度こそ低いですが、NGOの概念を覆す規模を誇っています。
年間予算684億円、かつそのうち約80%を自立財源で賄っているNGO、それがBRAC(Bangladesh Rural Advancement Committee)です。
私は常々、国際協力の限界は、その財源にあると思っていました。
お金を出す人が誰なのか、ということは支援の中身に如実に影響を及ぼします。
それが国であれば、当然そのお金はその国民の税金から出ているわけで、税金を使うに値する理由を探すことになります。
もちろん、現地の人のためになることが、まわりまわって自国の国民のためになる、という構図をはっきりと示せれば良いですが、国際平和の維持とか、貧富の差をなくして世界に貢献するとか、規模が大きく成果の見えにくい話過ぎて、本当に現地の人のためになればなるほど、自国の国民のためになるという見せ方は難しくなっていきます。
結局のところ、自国の資源確保のためであったり、自国のビジネスチャンスの拡大のためであったり、自国の人気を高めるためであったり、何かしら具体的な国益を意識せざるを得なくなります。
それをその支援を受ける相手の国が望んでいなかったとしてもです。
つづく