たまのおいとま

めぐりあわせのおかげで海外でしばしおいとまいただくことになった会社員の冒険と発見と悟り

本の話「貧困からの自由―世界最大のNGO・BRACとアベッド総裁の軌跡」 ③

おそらくそれは、そのモノやサービスを評価する人と、そのモノやサービスを受ける人が違うことに起因しているのだと思います。

評価する人はドナー(国や寄付をしている人々)、受ける人は途上国の現地の人々です。

 

だからこそ、評価が容易に曲がるし、他の要因の影響を受けてしまうのだと思います。

 

民間企業の活動は、これとは違います。そのモノやサービスを受ける人と評価する人が同じだから、良い商品の方がより買われるし、誰かのためになるものであればあるほど、買われます。

 

常にお金という形の目に見える指標になって、フィードバックを受けられます。

それによって企業は成長するし、試行錯誤するし、それによって世界全体が良くなります。

もちろん、その中で不正も行われるとはいえ、それを防ぐ仕組みも作られています。

 

そういう、ある種健全な原理が、国際協力業界では働いていきにくいのが現状です。

 

市場原理にのせてうまくいっていないから今の状況があるわけで、完全な市場原理にのせるわけにはいかないのはある意味当然ですが、それによって、評価や結果の不透明性、フィードバックが次に生きる確証のなさが、常に付きまとっている感じがします。

 

もちろん、この問題を解決した組織は、私が知らないだけでたくさんあるのかもしれないですが、そういう事例で私が初めて知ったのがBRACでした。

 

NGOながら大きな規模があり、多数のスタッフを雇用していて、さらにそのうちの8割もの金額をどこからの寄付にも頼らず、自らの活動から得ているなら、本当にそのNGOがミッションだと思えることに、実際に取り組んだノウハウを使って力を発揮できるだろうと思います。

                              つづく