ボランティアの話 ⑩
その結果、香港へ行く前会社で働いていた時、私は私の仕事を私物化していただけかもしれない、と思いました。
自分の満足のいくやり方で、自分の満足のいく時間をかけて、仕事をしていただけで、本当は別に直接私がやらなくてもいいから、時間内に6割の成果を出すことが求められていたかもしれないのに、時間から逆算してやることを決めるということがありませんでした。
私は仕事のクオリティを上げるためにたくさん働いているんだ、とか、こういう業務分担をするということは、これくらい仕事をしろということだろう、と勝手にいろいろ考えていましたが、それも本当は私の勘違いだったのかもしれないなあと思ったのです。
そしてそれは、私が私の仕事を好きだったからだなとも思いました。
好きだからこそ、やりたいと思う気持ちがあるし、やりたいと思うことがあります。
だからこそ手を抜けないし、抜きたくないし、誰かにやらせるのではなく、自分がやりたいと思ってしまったのだと思います。
でもその結果、定期的に、疲れ果てたり、徒労感を感じたりすることがたくさんありました。
徒労感を感じるのは、他の人からの評価が欲しいのに、自分が望むほど十分には与えられなかったからです。
自分の身を削って、人のために働いているのだから、人から評価されたいと思うに至るのは必然です。
でも考えてみれば、評価されないのも当たり前です。
つづく