マンガの話 「ONE PIECE」を読んで ③
各自が飛ばされた島は、それぞれの能力をさらに磨くのにぴったりな島で、誰一人、2年という時間を無駄にすることなく、その後の航海のためにその経験を生かすことになります。
それは、ルフィーとその仲間に希望を託した人が渡してくれた大きなチャンスで、ただの幸運と言えばそれで片づけられる話ではあるのですが、私はどうもそういうふうには思えませんでした。
一人一人が自分の力でつかんだもののように見えたからです。
まずは、たまたま飛ばされた島で、それぞれが自分の能力を磨ける可能性を見出したことがその理由です。
与えられた環境の意味を理解し、それを自分の人生に生かせるのは、それに値する能力をその時点で持っているかどうかにかかっていると思うからです。
では、ルフィーに仲間として認められたおかげでその場に立てたのだから、やっぱり幸運に恵まれていて初めてそういう環境に身を置けるのでしょうか。
もちろん、出会った奇跡がなければ何も起こらなかったかもしれませんが、出会っただけでも何も起こらなかったのだと思います。
ルフィーに出会った時点で、ルフィーに認められうる、仲間にしたいと思われうる素質を持っていたことで初めて、仲間になれたのだと思います。
そうやって考えてくると、何一つ、100%の幸運なんてないのではないかと思えてきます。
もちろんきっかけとなる奇跡がいつふってくるかは誰にも分からないけれど、それをつかみ取れるかどうかは、本人のそれまでの努力や経験、一つ一つ積み重ねてきた判断にかかっていると思うのです。
私の香港での生活は、彼らの2年間のような意味はあるのか、当時はそればかり考えてなぜかひたすら焦っていましたが、今は、絶対に意味があったし、実際に仕事へのスタンスが大きく変わったと思っています。
その話はまたどこかでできたらいいなと思います。
(あれ?書き終えてみたらほとんどネタバレなかったという・・・)
完