たまのおいとま

めぐりあわせのおかげで海外でしばしおいとまいただくことになった会社員の冒険と発見と悟り

東京オリンピックの開会式を見ながら考えたこと ⑨

例えば北京オリンピックの時、オリンピックの歴史を絵巻物のように移したスクリーンの上を、聖火の最終ランナーが空中で駆け抜けていき、最後にバーンと勢いよくスタジアムの高いところにあった聖火台に火が灯る、そういう演出がありましたが、これはとても分かりやすいと思います。

オリンピックの歴史に思いをはせて、大事にする気持ちも自然と伝わります。

 

北京の冬のオリンピックの開会式も、東京オリンピックとは対照的でした。

もちろん開会式の始まる時間を、中国の伝統的な暦になぞらえたり、入場順を漢字の画数にしたり、よくよく見れば中国らしさがあるのですが、それはさほど表に出てきません。

 

私はむしろ、すごく意外に思ったのは、赤が全然出てこないことでした。

終始、青が印象的だったのがとても新鮮に感じました。

 

中国と言えば、赤です。

香港で中国の国営放送が見られたので、よく知っているのですが、コマーシャルのような感じで、心を一つに、偉大な国、中国!みたいな映像が頻繁に流れます。

その時のテーマカラーは必ず赤と決まっていて、それを見るたびに、ああ中国だなあと思っていたものです。

 

聖火台にしても、まさかのトーチをそのまま聖火台にするという斬新な発想や、参加国の名前が書かれたプラカードが聖火台を形作る、というパフォーマンスには、オリンピックが国際的式典であることへの理解と、それをただ踏襲するのではなくて、新しい発想で次の歴史を作る気持ちが表れていたように思えます。

少なくとも、そう解釈しうるものがあったことは重要です。

 

これを見て、私は東京オリンピックの開会式が少し恥ずかしくなりました。

日本という色はたくさん見えましたが、国際的式典、というメッセージはあまり感じ取れなかったからです。

お祭りの映像など、あれ、私今NHK見てたっけ、という感じでした。

                              つづく