たまのおいとま

めぐりあわせのおかげで海外でしばしおいとまいただくことになった会社員の冒険と発見と悟り

マンガの話 「ONE PIECE」を読んで ②

作者は、自分が作ったキャラクターを自由に動かすのが本当に好きなんだな、という感じがします。

 

一人ひとりの登場人物が作者に愛されていると思う理由のもう一つは、一度ルフィー達に倒された悪役も、自分がやってきたことを反省して協力者になることがあり、またルフィーもルフィーで、相手の変化を認め、あっさり受け入れるところです。

ルフィーの懐の深さは、そのまま作者の懐の深さで、そういうところが物語を狭めずどんどん広げていくんだろうと思います。

 

いろいろと印象深いシーンはありますが、一つ一つの話が考えようによっては、世界のどこかで現実に起きていることとつながるテーマがあるように読めて、そこも魅力の一つだと感じました。

 

個人的には、魚人島の、人間と魚人の間での憎しみ合いの歴史に、怒りを飲んで終止符を打とうと奔走する魚人たちの話のところで、なぜか涙が出て止まりませんでした。

他のシーンでも、同じくらい感動する部分はあったと思うのに、そこだけそんなにも涙が出たのが不思議でした。

 

でも、そういう自分を発見できるのは、本でもマンガでも、いろんな作品に出会う意味なんだろうなと思いました。

外からの刺激を受けて自分の中に起きた反応を見るのは、知らなかった自分に気づく良い機会なのだと思います。

 

他にも、特に心に残った話があります。

途中でルフィーの仲間全員が一人ひとりに分かれて2年を過ごす場面です。

夫以外の友達も知り合いもいない社会的には0から始まった自分の香港の生活に、どこか重なる部分があるような気がしたからだと思います。

                              つづく