たまのおいとま

めぐりあわせのおかげで海外でしばしおいとまいただくことになった会社員の冒険と発見と悟り

東京オリンピックの開会式を見ながら考えたこと ④

でも、文化背景や言語経験が異なる人にとっては、そういう憶測はできません。「それ何の写真ですか?」という一言には、感情の色がついていないのです。

 

その写真が綺麗だと思っているのか、奇妙だと思っているのか。

背景写真を設定していることを快く思っているのか、いないのか。

 

最初の1回目の質問ならまだ聞き手も優しい顔をして聞いているかもしれませんが、2回目以降は大変です。

自分の言葉が伝わっていないらしい、と誤解した聞き手は、大きな声で何度も言いますし、何回も言えば言うほど表情も硬くなっていきがちです。

 

そうすると、なんだか背景設定しているのがいけない、と言われているのだろうか、と勘違いして、とうとう背景設定を消したりしてしまう人もいるかもしれません。

「それ何の写真ですか!?」と怖い顔で大きい声で言われたら、それはそんな気持ちにもなりえる気がしませんか?

 

そもそも、「それ何の写真ですか?」という質問だけで考えると、変な質問です。

よほど変わったものが映っていれば、それ何!?となるのも分かりますが、たいていは、海の写真とか、山の写真とか、綺麗な景色とか、だいたい見れば文字通りの「何の写真」かは分かるはずなのです。

 

もし地名などを聞きたければ、どこの写真ですか、と聞くべきだし、本人が撮ったものか聞きたければ、あなたが撮ったんですか、と聞くべきです。

 

でも、そうではないのはなぜかというと、日本人らしい、奥ゆかしいオープンクエスチョンだからです。

相手はどんな答え方をしてもいいけれど、とにかくその写真についての話が聞きたい、という気持ちから発しているので、どんなふうに答えても良いような、あいまいな聞き方になります。

                               つづく