たまのおいとま

めぐりあわせのおかげで海外でしばしおいとまいただくことになった会社員の冒険と発見と悟り

完璧主義の出口 ⑨

そこで私ははっきり、完璧主義の先に輝かしい未来なんてないんだ、いつまでも不満の道が続くだけなんだ、と自覚しました。

そして、成果がない状態で自信を持つことも可能なんだ、と知り、その方が律儀に自分の失敗を見つめて修正しようとするよりも、かえって人生上手く行くのかもと思い始めました。

 

ただ、じゃあどうやって?というところはやっぱりあまりよく分かりませんでした。

動物園に行けばいいのか!?と血迷ってみたりもしましたが、それでもなかなかそんなに急には考え方を変えて自分に全幅の信頼を置くことなんてできないだろう、と思いました。

 

そして、どうしたもんかなあと思っていた中で、私は師匠と出会いました。

その方は、同じように夫の海外赴任で香港にやってきた方で、後から聞くとほぼ同じ時期に香港に引っ越してきたのですが、私よりも格段に香港生活が充実していました。

 

美味しいお店はたくさん知っているし、普通に現地のウェットマーケット(街市)で広東語で買い物するし、運動も勉強も人付き合いも夫とのデートも、とにかく毎日めいっぱい、人生が充実している、と思いました。

 

そして、こんなに若輩者の私にも、少しも偉ぶることなく、対等に接して下さいました。

デモやコロナを言い訳に、中国語の語学学校に行く以外はさしたることができていなかった自分が恥ずかしくなりました。

 

こんなんで香港に住んでいた、と言えるのだろうか、と思っていた矢先、やっぱり言えないよな、と改めて思いました。

 

思えば、私も香港に着いたころ、コロナ前は、自分なりに英語も使って情報収集をして、知らないお店に行ってみたり、まさにこのブログを始めたばかりの頃ですが、とみおを育て(ようとし)たり、パンを焼いた(つもりになった)り笑、成功しようと失敗しようと、とにかくなんだかいろいろ挑戦していたはずなのに、いつの間にかその気持ちを失っていたことに気づきました。

                                つづく