本の話 「職場の「苦手な人」を最強の味方に変える方法」③
もうこの時点で、自分の相手の類型を見つけ、その分析にうなずき、対策で具体例まで載っていて、希望が見えてきて、この本を読んで良かったと、一心地着いたような気持になります。
でも、この本が素晴らしいのは、それで終わらないところです。
続いて、相手だけでなく、自分の特性も考える必要がある、と著者は続けます。先ほど分析と具体的な対策を知って、憤りがある程度癒された読者には、その言葉がすっと入ってきます。
先ほどと同じ9つの類型が、今度は良い面を強調して説明されます。
ここがもし、短所も含んだような書きぶりだったら、読者は自分のタイプを見つけるのに躊躇しますが、長所が書かれているので、楽しく選べます。(単純)
自分はこれかなあ、あ、でもこの要素もあるな、などと考えた上で、シチュエーション別に注意の必要な点を読んで、今度は自分が失敗をしそうな場面と対策を知ることができます。
それを読み終えたとき、苦手な部下や上司のことで頭がいっぱいだった状態から解放され、自分を含めて、その相手以外の人の顔と特性が浮かんでくるようになります。
勝手に、あの人はこのタイプかも、あの人はよく分からないな、と考えだします。
そうやって自然といろんなタイプの人が隣り合って仕事をしていることを読者に生き生きと想像させた上で、「相性がいい組み合わせは居心地がいいが、仕事上では成長がない」(p.172)と著者は言い切ります。
確かに、とすとんと腑に落ちます。
チームを作るとき、人を採用する時にも、この9つのタイプの人をまんべんなく入れるように心がけることが、成果を出す秘訣だと書かれています。
さらには、この9人は無理でも、9つのタイプを大きく3つに分けた場合のそれぞれ1人ずつを入れると良い、とまで書かれています。
つづく