たまのおいとま

めぐりあわせのおかげで海外でしばしおいとまいただくことになった会社員の冒険と発見と悟り

ゆっくり急ぐ ②

これを読んで、あれ、こんな話だったっけ、とちょっと意外に思いました。

どうやら、この「ゆっくり急ぐ」はちょっとトリッキーな言葉のようです。

 

例えば東洋経済オンラインで出口治明さんが書いている「児童書「モモ」はデキる大人の心にこそ刺さる」という記事があります。

これには、こうあります。

 

浦島太郎を竜宮城に連れていったのもカメでしたが、モモを時間の国に連れていくのもカメです。「オソイホドハヤイ」は、ローマ帝国初代皇帝のアウグストゥスが好んだ言葉「ゆっくり急げ」にも通じます。

子どもは急がされることをとても嫌がります。朝、保育園に急いで連れていこうとしてもなかなか言うことをきかない。お父さん、お母さんは焦ってイライラする。

だけど急がされることを嫌がることこそが、人間の本性の一つだと思うのです。子どもにも自分のペースがあって、もっとゆっくりしたい。急ぐのは、ほとんどが大人の都合です。しかもちょっとぐらい急いだところで大した差はありません。

こうしてエンデは、無駄な時間をなくすことにどれだけの価値があるのか、と繰り返し問い続けます。

 

ここで言われている「ゆっくり急ぐ」は、その人のペースで進むのが、ゆっくりに見えてもなんだかんだ一番速い、という意味になるのだと思います。

確か、伊藤真さんの講演でも、こういう意味で使われていた気がします。

それを聞いて、なんだか安心した気持ちになったからです。

 

それに対して、外山滋比古さんの解釈は、ゆっくりばかりではいけない、緩急をつけるのが大事、という意味だと思います。

それもある意味、ずっと急いでいるのは無理だよ、と言っていてほっとさせてもくれるのですが、ゆっくりか急ぐかは所詮相対的にしか捉えられないので、今は急ぐべき時なんじゃないか、今までがゆっくりすぎたんじゃないか、と焦る理由にはなってしまいます。

                                つづく